出発〜ジャルコット
7時起床、7時半朝食。
「ムクティナートブレッド」なるものを注文。
チベタンブレッドよりももう少しパサパサで、ほのかに甘く、よもぎパン?みたいな感じの味だった。
斜め向かいに座ってきた欧州人の女性に、「わー、なにそれ?美味しそう!」みたいなリアクションで話しかけられた。。
たしかに珍しいパンだよねw
天気は快晴。
食堂の窓からは、思った以上のでかさでダウラギリが見えていた。
三角形のピラミダルな山容が、朝日に照らされていて白く輝いている。
8時20分頃出発。
今回のルートは、
ムクティナート→カグベニ→ジョムソン
である。
カグベニ経由が、やや中国チベット寄りルートであり、少し遠回りとなる。
ポーターのゴンブーだけはカグベニに立ち寄らず、ジョムソンに直行する短縮ルートで行くとのこと。
ムクティナートから先、北北西方向に歩くが、標高はひたすら下げてゆくのみ。
歩行開始してまもなく、ジャルコットという集落につく。
ここでもチベット仏教の寺院があり、寄り道して見学。
白塗りの壁が特徴的な建築。
ネパールというより、チベットっぽい(チベット行ったことないけど)。
境内で比較的若い僧侶に挨拶がてら、少しお参りをする(写真はない)。
人懐っこい猫もいた(写真ない・・)。
厳しい自然と共存する古くからの集落
広大で荒涼なチベット高原
ほどなくして立ち去り、再び歩みを進める。
チベット的な乾燥した荒野の茶色い大地が、樹木が全く生えていない土地が、延々と視界の向こうに広がる。
温暖湿潤で植生色鮮やかな日本とは真逆のベクトルといえるような
日本で決して見ることのできない、日本とはかけ離れた景色が展開している。
このセクションを、個人的には楽しみにしていた。
そして、実際に期待を裏切らない素晴らしさであった。
あえて言うならば、
学生時代に訪れたニュージーランドのテカポ湖付近や、
日本だと足尾銅山の付近に、似ているっちゃ似ている。
でも、この大陸的な景観は
当然ではあるが、ユーラシア大陸ど真ん中のこの場所がやはりガチである。
下りが延々と続くのでラクチン。道路はずっと舗装されていて、
下手したら首都カトマンズ 周辺よりも状態はよいw
バイクツーリングをしている人が多い。
ネパール人なのか外国人なのかはわからない。
時折、二人乗りで、後ろの人がスマホで自撮り動画を撮ってるような光景も目にした。
バイクや車でならば、ムクティナートへの道もラクチンで速いだろう。
しかし、ムクティナートからのくだりならば、景色を楽しみながらの移動だったら、徒歩でも退屈することはないと思えた。
広大なムスタンの大地を踏み締めて歩くこの一瞬一瞬の時間が、
私にとっては非常に貴重な時間なのだ。
どれだけ長くても良い。
この地球を味わえる贅沢な時間よ。
どこまででも歩いていきたい!
そんな開放的な気分にしてくれた。
歩いて少しずつ移動しているはずなのに、景色はどんどん変化してゆくように思えた。
徐々に、深い渓谷を挟んだ西側の岩山が、近くに、目線高くに近づいてくる。
対岸の山肌に「KAGBENI」の文字が見えている。
その下に軒数30件くらいの集落が見えている。
ここがカグベニである。
遠くから街や集落が見えてきたとき、その場所がどの程度栄えているのかを想像したり期待したりする。
今回は、見た目よりも多分寂れているのだろうと想像した。
カグベニとチベット仏教
カグベニの集落につくと、まず観光バスから降りてくる観光客の集団に遭遇した。
そのあとで、集落の中に入ってゆくと、子供たちが遊んでいたり、赤子を背負った母親の姿が何人かいたり、ちょいちょいと住民の姿を見かけた。
建物は、他の集落と同じく、綺麗な建物と、廃墟化した建物とに分かれていた。
建築物の事情はわからないが、思ったよりも人の往来がある印象。
このカグベニに到着して、
最初に度肝を抜かれたのが、
「ヤクドナルド」の看板。
マクドナルドのパロディ??
いくらチベットだからって、高地牛のヤクとかけて、ヤクドナルドて。ダジャレかよ。
オヤジギャグ的センスに吹いたw
そしてダワは、このヤクドナルドに入店wここ入るんかい。
注文したのは
ヤクチーズバーガーセット。
出来上がるのに時間がかかるようなので、
荷物をここに置かせてもらい、外を散策。
たどり着いたのは
マナストリ(寺院)。
ダワに勧められて、拝観料を払って仏塔に入る。
ダワはやたらとマナストリ参拝を勧めたがる笑
彼自身が敬虔な仏教徒であり、私の祖母も仏教徒だという話をしたからであろうか。
ダワは表で待ってくれるそうなので、私ひとりで建物内へ。
外からみると少し頼りない外観であったが(写真ない・・)、
中に入ると、そこそこの爆音で
僧侶たちの読経の声と吹奏楽器の音が聞こえてくる。
階段を上がり、建物の4階あたりで、僧侶たちが集まり、一斉に読経していた。
勧められるままに部屋の中に入り、僧侶たちのすぐ横で座らせてもらう。
何を唱えているのか、言葉は全くわからないが、日本の仏教寺院のお坊さんがお経を唱えている時のあの独特の厳粛な発声と声色は共通している。
それでありながら、言葉の羅列を粛々と唱えるというよりは腹の底から出る大きな声量で歌を奏でているかのようだ。
日本のお寺では見られない、「ラグドゥン」
ラッパの音と、お経を組み合わせた絶妙なグルーヴ感。。
チベット民族の信仰心を垣間見、厳粛な雰囲気とあいまって何とも言えない感覚。
東洋独特のテイストが濃ゆいこの感じ、
そしてどこか、古き日本や、
5000kmも離れた異国の地にあって、いにしえの時代から、世界は確かに、繋がっている。
しばらくそこで放心状態になっていたが、タイミングをみて場を離れる。
建物の外に出ると、あの爆音読経が嘘のように静かであった。
ああみえて、かなり遮音性が高い建物だ(写真とればよかった)。
ホテル&レストラン「ヤクドナルド」に戻る。
ほどなくして、料理が提供されてきた。
めちゃくちゃ美味い。。
肉、チーズが半端なく美味かった。
そして、オレンジ色のジュース。
これはオレンジジュースではなく、「シーバックソーン」という果物のジュース。
柑橘系のような香りはするが、酸味が少なく優しい甘味のするジュースでこれもまた美味しかった。
標高も約2800mの場所まで下がり、血中酸素飽和度(SPO2)も95前後まで戻り、もはや体調は万全の状態に近い。
砂埃のカリガンガキ川流域とヒッチハイク
ここから先は、カリガンダキ川沿いに下流方面へ向かう。
正面左手には、ニルギリ北方北壁の勇姿が。
昼過ぎの明るい陽光のもと。
時折通過するジープやバイクによって砂塵が絶え間なく舞う道を、ダワと私は淡々歩いてゆく。
グネグネとしたダート道がどこまでも続く。
結構単調な道で、途中でだんだんだるくなってきた。
これ、あとどれくらい続くんだろうか?
そう思い始めた矢先のこと。
ダワがヒッチハイクを始めた。
そして、一台のジープを止めたのだった。
手招きされて、助手席に乗り込む。
ドライバーは比較的若くて元気そうな兄ちゃん。
ハイテンションで何やらネパール語でダワと会話している。
そして車内では、やはり爆音でかかるネパール・ミュージック。笑
このコブシの効いた歌謡曲テイストの民謡が、ネパール国民はみんな好きらしい。
欧米のロックや現代的なポップミュージックは、この国ではあまり耳にすることがない。
それにしても、車での移動はホント助かる。
ありがたい限りである。
ダワもきっと、いい加減単調なダート道の歩行に嫌気がさしたのだろう。
車でも結局道はボコボコなので、スピードを出すことはできず、平均時速20kmくらいでノロノロ移動する。
とはいえ、歩くよりはずっと速いしラクチンだ。
車で30分ほど揺られ、やっとジョムソンの集落の入り口に到着した(結構長い時間かかったような気がするが、30分ほどだった)。
ここにはトレッキングのチェックポストがあるので、ダワが手続きをしに行く。
自分とドライバーの2人っきりになる。
…。
気まずい沈黙の時間。
何も話すこともなければ言葉もわからない。
しばらく彼は鼻唄を歌ったりしていたが、
途中でいきなり車を降りていった。
後ろが何やら騒がしい。
私も車から出て後ろの様子をみると、何やら複数人のネパール人が揉み合いのような騒ぎを起こしている
喧嘩か?
ヒッチハイクのドライバーも、何故か後ろの揉み合いに混じって騒ぎ立てている。。
仲裁に入ったのか、野次馬してるのか、、
一体何が起きてるの??
ダワは一向に戻ってくる気配がない。
ああ、この状況。この空気。
一体どうしたらいいの??(困
そうこうしているうちに、ダワがやっと戻ってきた!
ホッと一息。
ドライバーの兄ちゃんも戻ってきて、なんか知らんが一件落着。。
何だったんだ一体。。
ここからジョムソンの街になる。
街中のメインストリートをのろのろと通過し、
街の南西端の方にある今回の宿に到着した。
宿は、ジョムソン空港のすぐ脇に面しているロケーションだった(というか街全体が、空港の滑走路に面している)。
そして、宿の中からポーターのゴンブーが。笑
前歯の抜けた、愛嬌のあるいつもの満面の笑みを見ると安心する。
というか、速いな!(爆
ショートカットをして寄り道もしてないとはいえ、我々よりも圧倒的に速い。
しかもゴンブーの顔をよく見ると、なんか口髭がない。。
いつのまにか剃ったんかいw
とにかく、14時頃にこの日の行程は終了。
ジョムソンにて
宿の建物の構造が少々複雑な感じだったが、
確保してもらった部屋は、今回もやはり角部屋の、二階にある景色の良い部屋で、三方向に窓があり、ニルギリ北峰とジョムソン空港の滑走路が目の前に眺められる絶好の場所にある部屋であった。
毎回、本当にありがたい。
そして、部屋にはトイレとホットシャワーも付いていた。
昼間ではあったが、早速ホットシャワーを浴びることにした。
前日のムクティナートでは、シャワーのお湯が出ず、また標高3800mの地にあって夜は冷えたため、シャワーが浴びられなかった。
ここジョムソンでは、気温がマイルドであるし、またシャワーも暖かいお湯が問題なく出てきたので、ここぞとばかりに久しぶりのシャワーを堪能した。めちゃくちゃスッキリとした。
多分、アッパーピサン以来の温水シャワーだったので、実に9日ぶりであった。。
こんなに長期間身体を洗わなかったのは、学生時代の南アルプス南部全山テント泊縦走の時以来ではなかろうか。
とは言え、ここネパールは高地で雨の少ない大陸性気候ということもあり非常に乾燥している。
そのためか、おそらくはひどく汗をかくこともなく、また身体がベトベトしているような感覚もあまりなく、身体が異様に汗臭くなるようなこともなかった(というように思われた)。
まあ、身体はやはり痒かったりするし、勿論身体は分泌される皮脂で汚れてはいるわけなので、久々のシャワーはやはり感動するものがあった。
溜まった洗濯物もあるので、下着や靴下などを、チャーメで買った石鹸をつかって手洗いで洗った。色々とスッキリさせることができた。
ひとしきり身繕いをしたあと、航空券を取っていた楽天トラベルのサイトにアクセスし、帰路チケットの変更手続きを試みる。
しかし、なんだかよくわからんがマイページ内で自分が購入していた帰路チケットの情報が、どうやっても見ることが出来ない(表示がされない)エラーが続いていた。
「???どうゆうこと???」
何回みても同じ結果にしかならない。
そして電話で問い合わせてみようとしても、ネパールからだとどうにもうまくサポートセンターへの電話が接続ができない。。
これをずっとやっていたら、変な体勢かつ緊張状態でスマホを凝視しすぎたせいか首が痛くなってきた。。
気分転換でジョムソンの街中を散策。
小型の林檎とか、乾燥させた林檎チップスなどを売っている売店が多い。
スナック菓子などを買いたくなったが、ちょっと買いにくいお店の雰囲気などもあって結局は買わなかった。
街は南西〜北東方向に長く、全てを見ることはできなかったが、多分めぼしいものや面白そうな場所は特に何もなさそうに思えた。
常にジョムソン空港のすぐ横に面していて、道端の草地には牛が歩いていたりする。
次第に陽が傾き、周辺の山々が高いので、太陽はすぐに沈んでしまう。
そして陽がかげると、途端に体感気温は下がってゆく。
こうなると、途端に宿に戻りたくなってしまい、散策は終了する。
宿に戻ると、まずはお茶タイム。
メニューに「ラッシー」があったので、注文。
ネパールにきて、ラッシーは実は初めてとなる。
本場のラッシーの味は、うむ、普通に冷えてて美味しくて満足。
そのあと、ダワと少し雑談。
ダワがスマホでお気に入りのチベット仏教の音楽動画を見せてくれて、なにやらアツく語ってくれるのだが、
そうこうしているうちに、宿の人が夕飯のメニューを取りにくる。
すると今回は、「目玉焼きあんかけ焼きそば」的なものが出てきた。
メニューではもうちょっと違う感じをイメージしてたのだけれど。。(※補足:たしかメニューでは「Chop Suey(チャプスイ)」と書かれていた)
味は、、
正直ビミョーw
まあちょっと失敗だった。
食べ終わると、外はすでにとっぷりと陽が暮れていた。
翌日の移動に備えて、早めに寝ることにする。