こんにちは、トミーです。
先日に、有名な人工氷壁「岩根山荘アイスツリー」にてアイスクライミングの予行演習(アップ)を行いまして、その翌日に天然の氷をリードクライミングしてきました。
その結果を以下、報告しようと思います。
結論から申しますと、テンションをかけてしまい散々でしたw
そんな僕は、過去には吾妻渓谷不動滝のF2のバーティカルをオンサイトしたり、日本を代表する有名アイスクライミングルート「甲斐駒ヶ岳・黄蓮谷右俣」を登攀したり、といった経歴があります。
しかし、アイスクライミングを久しくやっていないと、こういうことになってしまいます笑
反省の意をこめて、記事にしたいと思います。
目次
アイスクライミングのリードとは
アイススクリューを氷に埋めつつ、ロープを伸ばしてジリジリ登攀する
いきなりですが、ちょっと想像してみてください。
目の前に、垂直に近い高さ20mくらいはありそうな氷の壁が立ちはだかっています。
貴方は、これからこの氷の壁を攀じ登ろうとしています。
命綱(ロープ)を、腰につけたハーネスのビレイループにしっかりと結び、
アイスアックスを両手に取り、さぁ気合を入れて挑戦です!
両手のアックスを交互に振り下ろして氷に叩き込む。
両足のアイゼンを交互に氷に蹴り込んでそこに立ちこむ。
これを何度か繰り返していると、数メートルの高さまで登ってきました。
貴方は「このままだと、今落ちたら地面まで滑落してしまう・・・!」と少し怖さを感じ始めるでしょう。
そこで、腰にラッキングしていたアイススクリューをおもむろに取り出し、安定した体制を整えつつ、氷にこれをねじ込んでゆきます。
氷に埋め込むプロテクション。大きなネジのような金具。主にアイスクライミングの時に使用する。
アイススクリューをセットし終えたら、これにクイックドローをかけて、先端のカラビナにロープを通します。
そこでようやく一安心。
万が一今ここでアックスが氷から外れて落ちても、アイススクリューが支点になり、
そしてビレイヤーはしっかりとロープで確保をしてくれるので、滑落はせずに済むのです。
その後は、また引き続き、先ほどまでと同じ要領で登り続けるわけです。
しばらく登ったら、またアイススクリューを埋めてロープを通してゆく。
その繰り返しで氷壁の上まで登り切ってゆきます。
リードの恐怖!トップロープより4倍怖い!
ロープクライミングをやったことがある人はよくわかるかと思いますが、、
リードはめちゃくちゃ怖いです。トップロープの4倍くらいは怖いと思います。
なぜ怖いのか?
それは、大きく墜落する可能性があるからです。
人は、本能的に落下に対して絶対的な恐怖を持ちます。
リードはその恐怖から逃れることができず、またこの恐怖感と対峙することになります(そしてこれを乗り越えることに価値があったりします)。
その怖さを具体的に説明します。
例えば、1本目のアイススクリューを埋めます。
埋めたその瞬間は、アイススクリューは目の前にあるので、今落ちてもそこで身体は止まります。
実質はほぼ落下しないわけです。
・・・ところが、その後登ってゆきますと、
アイススクリューをセットした地点(=支点)から登った距離に比例して、もし落ちた場合に墜落する距離も長くなります。
例えば、支点から2m登ったときに不意に落ちてしまうと、
単純計算で支点よりもさらに2m下まで落ちます。
つまり、4mも墜落します。
実際には、「ロープ自体が伸びる」という要素と、「ビレイヤーが墜落を止める際に少しロープが流れる」という要素が掛け合わされるので、
4m以上は確実に落ちるわけで、条件によっては5m以上落ちる可能性があります。さらには、自分で埋めたアイススクリューが何かの拍子で抜けてしまう可能性もあります。
(埋めた場所の氷の強度が弱かったりすると、衝撃を受けると破壊されてしまうこととかも)もし抜けてしまうと、グラウンドフォールする(地面まで落ちる)ことになります。
リードで登っていると、そうしたことが容易に想像されてしまうわけであります。
だから、トップロープの4倍くらいは怖いと思います。
アイスクライミングで2年ぶりにリードをしてみたら・・・
アイスクライミングで約2年ぶりにリードをしてみました。
最初の1回目のリードは、オンサイト(一撃)できた!
前日に岩根山荘アイスツリーで登って身体を温めておりました影響か、
いざリードでトライするときは、多少緊張したものの、極端な緊張はありませんでした。
そして、登っていたら、身体が勝手に動いてくれて、スルスルっと一発で登り切ることができました。
「おお、調子のほうは意外に悪くないな!」と思いました。
2回目にラインを変えてリードで登ってみたら・・・
2回目はもう少し垂直に近いところを登ってみようと思いトライしました。
そしたら、、
1本目のアイススクリューをセットしたときに、カラビナにうっかりアックスリーシュまで通してしまっていたことに気づいたので、アイスアックスを一旦氷から外して、さらにアックスリーシュをカラビナから外して、クイックドローの下からアックスをくぐらせて再びアックスを氷に刺し込む、、みたいな、猛烈に面倒な動きを強いられてしまい、ここで無駄に力を浪費してしまいました。
アイスクライミングでは、ガチャガチャしたギアを身体に沢山ぶら下げているので、登っている途中で絡まったりしやすいわけです。
まぁヘタクソだったわけですw
その後、腕がパンプして怖くなってしまい、2本目のアイススクリューを1本目のたった50cm上にセットしようとして、この作業を利き腕ではない左手で行ったために苦戦。そこでテンションをかけたわけです。反省です。
3回目に至っては、萎えてトップロープ!
2回目のトライのグダグダ感がすごかったので、3回目こそは挽回を!と思いたいところでしたが、早くも心が折れてしまったようで、トップロープでお茶を濁すという行為に甘んじてしまいました。
その後のトライも、トップロープでした。
そして、天候はやや下り坂になってきており、上空はどんよりとした雲に覆われて薄暗くなり、雪がチラチラと降ってきてもいたので、「もう帰ろうかな・・・」となってしまいまして、これにて終了となったわけでした。
アイスクライミングのリードの怖さは、岩登りより怖い
岩を登る「フリークライミング」では、春・夏・秋と3シーズンにわたりリードをしていますが、
岩の場合はホールドの安定性が比較的高いので、まだリードの怖さはマシに感じる面があります。
しかし、アイスクライミングの場合、氷をアックスで叩いたり刺したりして傷つけながら登りますので、安定感があまりありません。
「今刺したアックスは、氷が欠けて外れるんじゃないか」
「アイゼンの爪は氷が欠けて外れるんじゃないのか」
といった不安感が強く、したがってそのことがリードでのパフォーマンスに影響を与えていた面が大きくあったと思います。
そして変な落ち方をすると、自分の両手に持ったアックスが自分の身体に刺さったり、割れた氷があたって思わぬ怪我をしたり、、といった、岩では考えにくいリスク要因が怖かったりするのです。
とまぁ、今回の記事ではアイスクライミングの怖さばかりが際立ってしまう内容となってしまいましたw
ここまで書いてナンですが、美しい天然の氷に、自分だけのラインを自由に引けるアイスクライミングは、とっても充実感にあふれており、やっぱり素晴らしいスポーツなんですよ!と言っておいて、今回は締めくくりたいと思います(強引)。