御岳・忍者返しの岩で起きたチッピング事件についての感想

御岳・忍者返しの岩で起きたチッピング事件についての感想

こんにちは、トミーです。

昨年末、ボルダリング界・クライミング界を騒がせた大事件として、御岳・忍者返しの岩で大規模なチッピングが挙げられますね。

忍者返しの岩には、「忍者返し」という国内では最も有名な1級の課題があり、日夜腕を磨いている多くのクライマーにとって目標課題として据えられ、そしてこれまでも多くのクライマーの挑戦を受け入れてきた課題でもありました。
それだけに、多くのクライミング愛好家が憤りを感じ、又まだ挑戦していないクライマーは、突如として目標を失って悲しい思いをされた方もいることでしょう。

今回は、このチッピングの件について、ボルダリングやクライミングの初級者の方に向けて、なるべくわかりやすく解説してみたいと思います。




チッピングとは?そして、チッピングが世間に与えるインパクトとは?

チッピングとは?そして、チッピングが世間に与えるインパクトとは?

まず、チッピングとは以下のとおりです。

チッピングとは?
超個人的な動機で岩(ホールド)を削ることにより、課題の質や難易度を改変してしまう非常に悪質とされる行為です

岩(ホールド)を削ることは、初登者およびクライミング文化に対する冒涜である

外岩におけるボルダリングやクライミングにおいては、課題やルートでは開拓者・初登者が存在します。
全ての課題では開拓者・初登者が存在しており、その一つ一つにおいて、並々ならぬ思い入れやこだわりが籠められた「価値ある作品」として世間に発表されます。
そして、世間に知らしめられた課題やルートは、後に多くのクライマーを受け入れ、多角的に評価が重ねられ、文化的な成熟を遂げてゆきます。

こうした、クライミングの持続的な発展におけるかけがえのない文化的な過程は、チッピングにより全てが台無しとされてしまいます。

安易なチッピングという行為により、開拓者・初登者の気持ちを踏みにじり、多くのクライマーの目標を奪い去り、チッピングをした当事者以外の全ての人にとって大きな心理的損害を与えてしまうことになるのです。

岩(ホールド)を削ることは、自然に対する冒涜である

人間の勝手な都合で岩を削ることは、自然を冒涜することにつながります。
一度チッピングを容認してしまうと、多くの自然岩が無数に傷つけられることを許してしまうことになります。

この部分に言及してしまうと、ボルト埋設やハーケン乱打、登山道整備や道路の開通工事、間伐などの森林伐採、砕石、ダム工事なども自然の冒涜だろう!という議論にもつながってしまいそうですが、だからと言って、クライミングという行為の中で行われる、誰も得しなければ喜びもしないチッピングという行為によって、自然の岩が傷つけられる必然性はどこにもなく
、自然の一部を破壊する行為が許されていいわけがないのです。

少なくとも、クライミングにおいて、自然の岩を傷つけて変形させたりすることは、誰も望んでいないのにわざわざ時間と手間をかけてまでやらなくてもいいことです。

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これからボルダリングやクライミングを末永く楽しむために知っておいてほしいこと

これからボルダリングやクライミングを末永く楽しむために知っておいてほしいこと

これからボルダリングやクライミングを始める人や、外岩にまだ行ったことないけど行ってみたいと思っている初中級者の人のなかには、岩を削る(ホールドをヤスリで磨くことも同じ! )ことが、そんなに悪いこととは思えないと感じている人がいるかもしれません。

しかし、チッピングは最もやってはいけない行為なので、意識してこなかった方はここで認識しておきましょう。

チッピングは決してやってはいけない行為であるということ

すでにチッピングがタブーである理由を述べてきましたが、チッピングは決してやってはいけない行為です。
末永く登ることを楽しむためには、知っておくべき知識だと思います。

「赤信号で道路を渡ってはいけない」というのは交通ルールでは問答無用で常識となっているように、「チッピングはやってはいけない」と記憶しておきましょう。

【個人的な話】僕もまだ忍者返しを登っていませんでした

普段、外岩は主にルートクライミングを目的に行くことが多いので、実は僕は御岳・忍者返しの岩にトライをしたことはありません。しかし、忍者返しは日本を代表する1級課題であり、いずれは完登したいと思って心の中で暖めていた課題でした。

本当かどうかわかりませんが、外岩のグレード(難易度の感じ方)はジムよりも易しいと言われており、ジムでのグレードでは4級くらいの難しさと聞いていたので、4級をわりと余裕で登れる僕にはイメージしやすく、現実的に外岩の最高グレードを更新できる可能性が高いなと希望を見出しておりました。

それなのに、このようなことになって課題が消失してしまい・・・、非常に残念な気持ちですね。

チッピングをした人には、そうせざるをえなかった何か重大な理由があったのだろうか

チッピングをした人に対するバッシングは、クライミング界隈では非常に厳しいものです。
これについては僕も否定する理由はなく、当事者は甘んじて受け入れるべきだと思っています。

しかし、当事者においては、チッピングをせざるを得なかった、何かのっぴきならぬ理由があったのかもしれません。
そういった背景を想像してみたとき、当事者にはその理由を説明していただきたいなと思う気持ちはあります。

これまでに外岩チッピング事件はたびたび起こっており、そのたびにクライマー達は憤りをあらわにしてきましたが、チッピングをした当事者が何を思ってそうした行為に及んだのか、その部分の真相が世の明るみに出たことは実はほとんどありません。

それを聞いたとき、僕たちクライマーはどのように感じ、どのように建設的に昇華をすることができるのでしょうか。

【本音】登ることは楽しいことだと伝えたい

【本音】登ることは楽しいことだと伝えたい

ダークで聞き苦しい話ばかりを展開してきました。
ボルダリングやクライミングというのは、本来は純粋に楽しんでしかるべき、尊い遊びなのです。
いち愛好家として、堅い話、深刻な雰囲気を、クライミングのなかに持ち込みたくはないというのが僕の本音です。

単なる狭い世界での個人的な遊びにとどまらず、多くの人々と自然環境が関わると、本意不本意にかかわらず、ややこしい問題が浮上してしまうのが世の常でもあります。

ある種、こういった側面をも認めつつ、僕達はこれを受け入れ、前向きに議論を交わし、みんなで末永くクライミングに関わってゆくということを大切にしていきたいものであるなぁと思った次第なのであります。

結果的には堅く厳粛な内容で締めくくってしまいましたが、これもまたクライミング界のひとつの側面でもあります。

みなさん、お互いに不快にならないようにマナーには配慮しつつ、長くクライミングを楽しんでゆきましょう^^

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