こんにちは、トミーです。
アルパインクライミングをずっとやってみたくて、その憧れを追い続けたら、実現することができました。
その結果、以下のようなルートを登ることができました。
夏:
剱岳・チンネ左稜線、八ツ峰、Cフェース、Dフェース
穂高岳・滝谷ドーム中央稜
谷川岳・一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜
北岳・バットレス(ピラミッドフェース~第四尾根主稜上半)
冬:
八ヶ岳・中山尾根、小同心クラック、阿弥陀北西稜、裏同心ルンゼ、峰の松目沢、ほか
甲斐駒ケ岳・黄蓮谷右俣
春:
白馬岳主稜、前穂北尾根、剱岳源次郎尾根
もちろん、全然まだまだ経験値が足りていないことは自分でもよーくわかっていますが、、
それでもこういったアルパインの世界を経験できるに至るまでは、様々な試行錯誤がありました。
その経験から、今回はちょっと記事にしてみたいと思います。
目次
アルパインクライミングの始め方とは?
夏山登山は多少経験してきた。やっぱり山は面白い。でも、このままでは物足りなくなってきた・・・
そろそろ、もっと刺激ある世界にステップアップしたいと思う。
このように考えるようになると、やがて以下のような疑問にぶち当たります。
その答えは、以下のいずれかになります。
- 山岳会に入る
- 山岳ガイドの講習を受ける
- 独学で学び、現場でパートナーを見つける
順を追って、説明します。
山岳会に入る
もっともメジャーな方法は、これです。
山岳会に入ることのメリットとデメリットは、以下のとおり。
- お金があまりかからない
- ベテランの会員と仲良くなれば、アルパインクライミングのイロハを教えてもらえる
- 遭難時に組織的な救助体制が整っており、安心
- 人間関係や組織内における諸々のしがらみが面倒
- 山岳会によってはアルパインクライミングの活動を行っていない場合はある
- 新人に教育する義務は基本的になく、いつまでたっても学べない場合がある
順番にみていきます。
メリット① お金があまりかからない
山岳会自体には非常に色々な形があり、一概にその様態は語れない部分もありますが、基本的には「アルパインクライミングの技術を学ぶにあたってお金はあまりかからない」ことが大きなメリットです。
山岳会に所属することで発生するお金は、ほとんどの場合「年会費」と「保険積立金」のみです。概して、年間1000円~5000円くらいの範囲で収まります。インターネットのドメイン代より少し高いくらいですかね。笑
メリット② べテランの会員と仲良くなれば、アルパインクライミングのイロハを教えてもらえる
これは、出会いの運とあなたの人柄にもよりますが、アルパインクライミングを活発に行っている会員と打ち解けることができたら、無料でその技術を手取り足取り教えてもらえる可能性が高いです。
逆に、こうした社会人山岳会というものは、学生の部活やサークルではありませんから、新人に対してカリキュラムに沿って技術講習を開催してくれるような会は稀です。
新人に技術を教えることは、あくまで先輩会員の善意によるボランティアから行われているということを自覚せねばなりません。
おそらくこのことは、どこの会でも同じかと思われます。
しっかりとした組織活動が活発で、アルパインにも精力的な山岳会が比較的おすすめですが、組織力のゆるい同人会や、アルパインに力を入れていない会では、自分からかなり強めにアクションしない限りは完全に放置される場合も多いので注意が必要です。
メリット③ 遭難時に組織的な救助体制が整っており、安心
東京都山岳連盟や勤労者山岳連盟に加入している山岳会では、ほとんどの場合において遭難時における組織的救助体制が組まれています。
そのため、もし山で万が一遭難した際も、すぐに消防や警察へ救助要請が行われ、有志会員が現場に駆けつけ、命を助けてもらえる可能性が高まります。
ただし、これについても、山岳会によってまちまちで、非公式のサークルのような団体や同人などの組織力の弱い会ではその限りではありませんので、やはり入会前によく調べておく必要があります。
デメリット① 人間関係や組織内における諸々のしがらみが面倒
このへんは人によるのかもしれませんが・・・
非営利の山岳会とはいえ、組織としてのまとまりの体裁を保つ以上、人間関係やこれに伴う様々なしがらみがどうしても発生してしまいます。
「自分はクライミングだけに注力し、専念したいんだ!」と思う方は、山岳会よりはつながりの緩い「山岳同人」などの同人会をオススメします。
山岳会の場合は、ある程度面倒くさい人間関係を受け入れることを前提として入会し、その恩恵として「山岳保険関連や非常時の組織的救助体制」を重要視するならば大いにアリだと思います。
もちろん、人間関係は面倒臭いだけではなく、それ以上に連帯感や帰属意識、かけがえのない人生の充実感をもたらしてくれます。そうした「アルパインクライミングの技術を学ぶ」という範疇を越えたものも含めて楽しみたい方には、山岳会はオススメできますね。
僕は協調性のない面倒くさがりの超個人主義人間なので、山岳会には入会しませんでしたが(※繋がりのゆるい「同人会」には入会しました)。
デメリット② 山岳会によってはアルパインクライミングの活動を行っていない場合はある
そもそも論となってしまいますが、会によってはアルパインクライミングを行っていないこともあります。このへんは、事前にリサーチが必要なので要注意ですね。
アルパインクライミングを学びたいがために山岳会に入ったのに、会員が誰もアルパインクライミングをやっていなかったというのでは全く入会した意味がありませんからね・・・。
デメリット③ 新人に教育する義務は基本的になく、いつまでたっても学べない場合がある
ショックな事実を申し上げます。
山岳会は趣味人同士が同好の志とともに好きなことをするための集まり。
もちろん非営利団体なので、新人に教育する義務はありません。
みなさん社会人として多忙な生活を送りつつ、週末に行きたい山に登りに行く生活です。
なかには結婚して子育て家庭を持っている方も多くいます。
そんな状況下で、自分の時間とお金を費やしてまで、技術のない新人に自分の技術を教えてくれる人がいたら、それは類稀なる聖人と思ったほうがよいでしょう。
まして、技術や能力を持ったアルパインクライマーは、他人に技術を継承するヒマがあったら、自分と同等以上の実力を持っている仲間と一緒に、自分の能力をフル発揮できるクライミングをしたい!と考えていることが普通です。
なので、「会に入ったから先輩達がアルパイン技術を教えてくれるに違いない♪」と思い込んでいたならば、その考えは残念ながら改めたほうが良いでしょう。
山岳ガイドの講習を受ける
山岳ガイドの講習を受けることは、非常に有効です。
個人的には、オススメ。
- てっとりばやくアルパインクライミングを体験できる
- 最新かつ確実な技術を、効率的に、自分のペースで学ぶことができる
- 講習会で切磋琢磨できる仲間を見つけることができる可能性がある
- とにかくお金がかかる
- ガイドに依存的になってしまい、独り立ちできないケースがある
順番にみていきます。
メリット① てっとりばやくアルパインクライミングを体験できる
当然ではありますが、山岳ガイドは、お客様にアルパインクライミングを体験してもらうことによって収入を得ています。
なので、アルパインクライミングの何たるか?をすぐにでも体験したい方には、お金を払うことによってすぐに対価を得ることができます。
すぐにでもアルパインをやりたい!と思っている方には、山岳ガイドへの依頼をお勧めいたします。
メリット② 最新かつ確実な技術を、効率的に、自分のペースで学ぶことができる
山岳ガイドは登山技術のプロなので、日々技術をアップデートしており、ネットや専門書などではリーチできない最新の技術を身につけています。
彼らからは、より安全で、より確実で、より実用性が高い技術を学ぶことができます。
そしてもちろん、学習のタイミングもこちらである程度決めることができますし、必要だと思う内容だけを山岳ガイドから学ぶことも可能です。
そして必要なことだけを学んだら、あとは個人で実践してゆくほうが上達が早かったりもしますからね。
メリット③ 講習会や交流イベントで切磋琢磨できる仲間を見つけることができる可能性がある
講習会にも様々が形式がありますが、こうした場に参加することで、仲間を見つけることもできます。山岳ガイド主催の交流イベントなどもたまにはあるようですね。
その日一緒にこうした場に参加した方と仲良くなることができれば、今後持続的なクライミングパートナーになってくれるかもしれません。
デメリット① とにかくお金がかかる
山岳ガイドを雇ってクライミングに行く、クライミング講習会に参加する、などの行為には、とにかくお金がかかります。
例えば技術講習会ならば1万円~、アルパインルートのガイド料だと4~7万円くらいかかる場合があります。
お金に余裕がある方なら問題なしですが、ほとんどの方はそうではないですよね・・・。
デメリット② ガイドに依存的になってしまい、独り立ちできないケースがある
特に信頼できる山岳ガイドに師事するようになると、その山岳ガイドの人間的魅力や技術的な信頼度(ようするに安心感)が大きくなりすぎるあまり、本来の目標であったはずの「自分で計画して自由にアルパインクライミングができる力を身につける」という軸から大きく外れることになってしまいます。
すると、その山岳ガイドなしではもはや山へ行けなくなってしまい、ずっと山岳ガイドに高いお金を払い続けることになるというループに嵌ります。
独学で学び、実践の中でパートナーを見つける
こうした学び方を経てアルパインクライマーになった方も、たまに散見されます。
しかし、どうしても独りよがりになってしまうので、基本に忠実な学び方に気づきにくく、
知らないうちに致命的なリスクを負う可能性が高いです。
- 完全に自分のペースで試行錯誤しつつ技術を覚えることができる
- ネットやSNSなどを利用すれば、パートナーは見つかる
- ソロクライミングをしても誰にも反対されない
- 間違った知識や技術を知らずに身につけてしまっても、指摘されにくい
- 遭難時に人的ネットワークを利用できない
- 自分で道筋をみつけられないとすぐに行き詰る
メリット① 完全に自分のペースで試行錯誤しつつ技術を覚えることができる
専門書やガイドブック、ネットなどの情報から、好きなだけ自分で試行錯誤しつつ、自分のペースで技術を覚えられることはメリットです。
だだし、間違いを指摘してくれる人は誰もおらず、もし一人で岩場で練習しているときに危険な場所で致命的なミスでもしたら、一巻の終わりです。
メリット② ネットやSNSなどを利用すれば、パートナーは見つかる
今の時代、インターネットやSNSでパートナーを見つけることが可能です。フェイスブック内ではパートナー募集のグループがありますし、そこに参加してメッセージを交換することで仲間をみつけることができます。
ある程度自分で技術を磨いてきたならば、そこで上手にアピールをすることができれば、仲間を見つけることはそんなに難しいことではないでしょう。
メリット③ ソロクライミングをしても誰にも反対されない
山岳会などで活動していると、山に行く場合には登山計画書の提出を求められたりします。そこで「ソロクライミング」を計画したら、必ずと言っていいほど許可されず、反対されたりします。
なぜならソロクライミングはリスクがあまりにも高く、山岳会運営サイドにとっては、そんな山行を許可することはデメリットでしかないわけです。
その点、独学・無所属であれば、誰にも咎められることはありません。完全に自由です。
デメリット① 間違った知識や技術を知らずに身につけてしまっても、指摘されにくい
上でも少しだけ触れましたが、独学で身につけた知識や技術にもし間違いがあっても、誰にもダメ出しをもらえないまま放置です。
まぁ偶然岩場で、間違ったことをしていると親切にも指摘してくれる人が現れる可能性はありますが・・・それは稀です。
間違えたまま覚えてしまい、長年経ったあとでその間違いに気づいても、身体に染み付いてしまってからでは修正が効きにくくなってしまうことも辛いです。
デメリット② 遭難時に人的ネットワークを利用できない
単独、あるいはネットで知り合った仲間と山に行く場合、ほとんどの場合は無所属ということになりますから、バックアップ体制もありません。もし遭難しても、救助要請をしてくれる仲間がいないので、秒を争う救助活動に致命的な遅れが発生してしまいます。
遭難が長引いたり、大規模なものになってしまったとしても、捜索活動にあたってくれる仲間もいません。
デメリット③ 自分で道筋をみつけられないとすぐに行き詰る
必要な知識や技術の体系的な学習が行いにくいため、無駄に遠回りをしてしまう可能性が大いにあります。
現場では使わない無駄な知識ばかり学習を繰り返してしまったり、そういうことにハマリがちです。
なお、独学については、賛否両論あると思いますが、基本的にはオススメはいたしません。この記事をみて「独学で行こう!」と決めて行動することにしても、有事の際に当サイトでは一切の責任は負いませんのでご注意ください。
【事例】僕はどのようにアルパインクライミングを始めたのか?
僕の事例をあげてみます。
以下は、番号順に経験してきたものです。
- 経験者の先輩に、フリークライミングの外岩に連れていってもらい、トップロープ体験
- ボルダリングジムでボルダリングを練習(4級まで登れるようになる)
- その間、経験者の先輩に2回ほど外岩に連れていってもらい、トップロープ体験
- 山岳ガイド主催のマルチピッチクライミング体験コースに参加
- 山岳会(同人会)を探し、入会
- 会内にて気の合う経験者のパートナーを見つけて、師事。数回マルチピッチに連れていってもらう
- ネットで同じレベル(初級者)のパートナーを見つけて、一緒に切磋琢磨
- フリークライミングのリードを徹底的に練習する(5.11まで登れるようになる)
- ⑦で知り合ったパートナーに誘われ、穂高滝谷でアルパインクライミングデビュー
ざっくりいうと、上記の感じです。
実は①~⑨までの間、約8年もかかっています・・・。
僕の場合は、他にも途中でスキーとか、一人旅とか、海外登山とか、トレイルランニングとか、色々とやりたいことも多かったので寄り道も多く、、
ちょっと時間がかかりすぎてしまいましたが、正しい道筋をたどれば、アルパインクライミングのデビューまでこんなに時間はかからないと思います。
アルパインクライマーを目指すにあたって一番大切なこと、それは・・・
アルパインクライミングというのは、当たり前ですがリスクを伴う行為です。
人里離れた高山に入り、そこでリスキーなクライミングをするわけですから。
そうすると、一緒に行くパートナーには、それなりの実力・体力、そして人間としての信頼性が求められるわけです。
誰しも、安心してクライミングを楽しみたいですし、それは連れて行く側の経験者にとっても同じです。
その意味で最も核心なのは、「一緒にアルパインクライミングに行きたいと思ってもらえるような人」になることです。
これが一番高いハードルになります。
あと、それと同じくらいに大事なことは、「カムデバイス(キャメロット)を1セット所有していること」です。笑
アルパインクライミングではカムデバイスは必須ギアになります。持っていないと登れないルートが多いですから。
カムデバイスを一式揃えると、お財布が結構痛みます。
しかし、経験値が低い初心者でも、どこかで覚悟を決めてカムデバイスを買わねばならないタイミングが訪れます。
なにより僕が穂高滝谷に誘われたきっかけは「カムデバイスを一式買い揃えたから」に他ならなかったのですw
ちなみに、カムデバイス一式とは、具体的に何を意味しているのかというと、それはざっくり言えば「ブラックダイヤモンド・キャメロットシリーズ」を指します。大きさの種類が細かく分かれており、#0.3(一番小さいやつ)~#6(一番大きいやつ)まで10種類もあります。
しかし、最初はとりあえず#0.5、#0.75、#1、#2、#3、#4までがあれば大丈夫でしょう。
つまり、まずは下記のリンク商品を購入しておけばOKです。
今回は以上となります。
長々読んでいただき、ありがとうございました。