スポーツクライミングのレベル(難易度)はどんな表し方?

スポーツクライミングのレベルとかってきっとあるよね?オリンピック選手なら、当然エキスパートなんだろうけれど、上級者とか中級者とか初級者とか、そういうのあるよね?それは具体的に、どんな振り分け方なのかな?

 

こんにちは、トミーです。

スポーツクライミング、というと違和感ありますが、ほぼ同義である「フリークライミング」として10年以上続けてきました。

10年以上、とはいいつつ、そこまで頑張ってもいないですが、、

 

現在、自分自身は中級者レベルという自覚です。

ちなみに、フリークライミングの最高グレードとしては、過去に外岩のルートで5.12bを2本レッドポイントしています。

そんな僕が、スポーツクライミングのレベル(難易度)の指標、主にデシマルグレードについて、解説してみたいと思います。




スポーツクライミングのレベル(難易度)はどんな表し方?

日本では、デシマルグレードというものが一般的です。

デシマルグレードとは?

「5」という数字からはじまるグレード体系で、その後にピリオドと数字が加わります。

数字は、大きくなるほど、難易度が高くなります。

そして、5.10以上では、さらに、a,b.c.d、の4段階に分かれます。
(aが最も易しく、dが最も難しい)

ざっくり書くと、まぁ大体以下のとおりです。

(※僕自身の体感や、周りのクライマー達などを見てきて感じる、僕の主観です)

5.7
5.8
5.9
初心者
5.10a
5.10b
5.10c
初級者
5.10d
5.11a
5.11b
5.11c
5.11d
5.12a
5.12b
中級者
5.12c
5.12d
5.13a
5.13b
5.13c
5.13d
上級者
5.14a
5.14b
5.14c
5.14d
エキスパート
5.15a
5.15b
5.15c
5.15d
世界最先端

 

上記のとおりです。

人によって、例えば「中級者は5.11aからだろ」と思う人もいるでしょうし、多少は前後するかもです。

 

10~20年前までは、例えば5.13a(サーティーンエー)というグレード(レベル)は、クライマーの憧れの到達点でした。

そして、5.13aを登れるクライマーというのは、才能を持ったほんの一握りの人たちで、一般人が到達できるレベルではないという印象でした。

ところが、近年ではクライミングジムが増え、練習環境が恵まれてきており、クライミング人口も増えてきている昨今では、5.13aを登れるクライマーはそれほど珍しくはなくなり、その希少性は薄れてきた感があります。

また同時に、世界の最高レベルは、10~20年前までは5.14台でしたが、今は人間の限界はさらに押し上げられて、5.15dまで登られています。

そしてこれに伴い現代では、「5.13a=エキスパートの世界」ではなく、「5.13a=上級者」といえる感覚になっています。

よって、上記の指標はそんなに外れてはいないはずです。

僕の体感を交えた、レベルごとの細かい解説【デシマルグレード】

ボルダリングでは保持力が決め手になります

日本では、アメリカ発祥のデシマルグレードで難易度評価をすることが一般的です。

5.1~5.6(現代ではほぼクライミングとは呼ばれない)

5.1~5.6の難易度イメージは、下記です。

5.1~5.2 = ほとんど徒歩
5.3    = 階段を登るレベル
5.4~5.5 = 手も使い攀じ登る。でもクライミングシューズは必要ないレベル
5.6            = ごくごく易しいクライミング。誰でも登れる

つまりは日常生活~山歩きの範囲に収まるレベルといえるでしょう。

なので、いわゆるクライミングといえる対象は、5.7以上だと考えてよいでしょう。

 

5.7~5.9(初心者)

ここから、クライミングジムに登場する課題のレベルになります。はじめてジムで登る人がトライする、初心者コースの難易度です。

具体的なイメージとしては、80~90度の垂直に近い傾斜で、ガバっと掴めるしっかりとしたホールドがあるルートです。ボルダリングのグレードに当てはめると、8~7級くらいになります。

大体、はじめて登る人でも、トップロープならクリアできます。

ただしリードだったり、外岩だったりすると、クリアできなかったりすることは普通です。

クリアできない理由として、リードは恐怖感が強いこと。

外岩は、ジムよりはホールドが乏しく、難易度そのものがジムより難しく感じられることが多いです。

5.10a~5.10c(初級者)

5.10aからは、いよいよ登り方がフリークライミングらしくなってきます。たぶん、初心者がいきなり登れることは少なく、登れるようになるためには数回~十数回くらいの練習が必要です。

5.10bは、さらに難しく感じられてきます。中級者~上級者がウォーミングアップで登る難易度ですが、それでもクライミングの基本ムーブ+核心(=特に難しい箇所)があったりするので、楽勝とは言えない場合も多いですね。

5.10cだと、初級者カテゴリにしていますが、感覚値としては「やや難しい」といったイメージになります。ホールドも持ちづらいものが多くなり、バランスを保つテクニックが必須となってきます。

しかし、クライミングに本気で取り組みはじめたら、このレベルに到達するにはそれほど時間はかかりません。だからこその初級者レベルです。

ちなみにボルダリングのグレードに当てはめると、6級くらいになります。

5.10d~5.12b(中級者)

個人的には、5.10dからが中級者レベルだと思っています。
その理由は、下記です。

  • ルートによっては、わりとハングした箇所が出てきたりして、ある程度の練習を積まないと越えられない
  • かなり多様なムーブ技術が求められてくる

5.11aを登れると「イレブンクライマー」などと言われ、ここから中級レベルだという認識も多いでしょうが、僕的には5.10dも決して易しくはないので、中級に含めて良い気がしています。

 

5.11b~5.11dまで、段階的に難しくなっていきますが、これくらいのレベルのルートを登るようになっている人は、たぶんプライベートの時間はクライミングにどっぷりとハマっているはずで、非常に楽しくなってくるグレードです。ムーブも複雑になり、パワーやダイナミックな体の動きとともに、本格的に頭脳をつかった戦略的な動き方を求められたりします。

また、個人的な感覚を出して申し訳ないですが、5.12の前半までは中級カテゴリに入ると思っています。

それは、下記の理由です。

  • クライミングに特化した特別な筋力やムーブを必要とせずに登れる限界グレードだから
  • 「クライミングが得意」とまでは言えないが、そこそこ慣れていたら頑張れば登れるグレードだから

これにより、5.12bまでは、一般的な人なら努力で誰でも到達できるレベルだと思います。

なお、ボルダリングのグレードに当てはめると、ざっくり下記の感じ。

5.10d、5.11a  =  5級
5.11b、5.11c  =  4級
5.11d~5.12b  =  3級

余談ですが、5.10台までは、同じグレードでもジムより外岩のほうが難しく感じられます。たぶん、ルートの長さが長く、また支点間の距離も長くて恐怖感が強いためでしょう。

5.11台では、ジムでは支点間距離の安全性が5.10台と同じレベルで保たれながらも、ホールドは悪くなるので、総合的なムーブの難しさは外岩よりジムのほうが難しくなる印象です。

5.12c~5.13d(上級者)

5.12cからは、非常に厚い壁を感じます。

というか、5.12cというグレードの課題は、結構強いクライマーにとっても長期的な目標になっているケースが多い。

外岩の5.12cにトライしたこともありますが、5.12bのように完登できる可能性はほとんど感じられませんでした。そもそも、ホールドが全く保持できないという感じ。実力、遠く及ばず・・・といった失望感でした。

なので、5.12c以上からは上級者と言って差し支えないのではないかな、と思っています。

 

5.12dは、課題の絶対数が少ないような気がします。

 

そして5.13a、、これが登れたらサーティーンクライマーの称号が得られます。”5.13a”は、多くのクライマーにとって、特別なグレードであると言えます。このグレードが登れたとき、自他共に自分が実力派クライマーであることが世間では確実に承認されます。

ムーブ、パワー、保持力、戦略、すべてにおいて高度な実力を身につけていないと決して登れないグレードで、クライミングに人生の大半をかけているクライマーにとっての一大目標になっています。

 

5.13b~5.13dになると、このあたりが限界になる人と、伸び続ける人とで差がある気がしており、秀でたボルダリングの才能も併せ持っている必要があるように思いますね。

上級者レベルは未知数なので正直よくわからない世界ですが、ボルダリングのグレードに当てはめると、たぶん下記の感じではないかと。

5.12c、5.12d  =  2級
5.13a、5.13b  =  1級
5.13c~5.13d  =  初段 

5.14a~5.14d(エキスパート)

ここからは細かいグレーディングごとの解説は僕には不可能です。

とにかく、超上級者の世界ですね。
オリンピックに出るプロクライマーの実力はこのあたりになります。

たぶん、才能のある一部の人しか到達できないんじゃないかな・・・

現在、5.13台まで登っている人は、それなりにたくさんいる(日本で300人以上?)と思いますが、5.14台を登っている人は100人未満じゃないでしょうか。

5.14台の課題を初登したりすると、何かしらの専門誌やメディアに掲載されている気がします。

5.15a~5.15d(人類最先端)

5.15台を登れる人は、世界でもほんの一握りでしょう。

そもそも人類が5.15台を登れるようになったのは、2000年台になってから。クライミング環境やシューズなどの道具の進化に伴い、クライマーのパフォーマンスの限界もプッシュされてきたからです。

日本のトップクライマーでは、安間佐千さんが5.15bまで登っています。

また世界最高グレードの5.15d(ルート名:Silence)は、チェコ出身のアダム・オンドラが完登しています。

さいごに

今回はスポーツクライミングのレベルを表すメジャーな単位「デシマルグレード」を、かなりの独断と偏見入りで解説してみました。

数字&アルファベットの組み合わせで、初心者の方にはちょっとわかりにくいですよね。

しかし、慣れてきたら、「5.10dか・・・。あぁ、なるほど、そんくらいのレベルね」みたいな感じで肌感覚で理解できるようになるものです。

スポーツクライミングのレベル感を知り、自分なりに目標を立てると、充実したクライミングライフが送れるようになります。

それでは、今回はこんなところで!

 

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