こんにちは、トミーです。
コロナ禍による緊急事態宣言で、登山界でも自粛ムードが長引いていますね。僕も、お出かけはせずに大人しくステイホームしています。
それにしても、山好き岩好きなあなたは、たぶん以下のように思っていますよね?
SNS上だと、こんな状況にある中で山や岩に行った人や、遭難した人に対するバッシングの声が飛び交っていたり、みなさんギスギスした空気になっており正直「なんだかなぁ・・・」と思っています。
議論を戦わせるのも悪くはないですが、こんなときにこそ僕が提案したいこと。
それは「エア登山」です。笑
エア登山って何よ?ってなると思いますが、それは「読書」です。「山の本の世界に入り込み、妄想登山してみる」って、なかなか悪くないですよ。
僕はこのコロナ禍をきっかけに、数年ほど本棚に眠っていた「アルパインクライミング考」を読了しました。これがね、なんかもうね・・・ものすごく良かったので、たまらず今回ご紹介です。笑
目次
登山自粛中に「アルパインクライミング考」をオススメする理由
著者は日本を代表するアルパインクライマー・横山勝丘(ジャンボ)さん
横山勝丘さん(通称”ジャンボ”さん)といえば、現代でアルパインやる人にとっては有名な方だと思います。代表的な記録だと、下記のとおり。
アラスカ ハンティントン南西壁「志士」初登
アラスカ デナリ継続登攀(アイシスフェース~デナリ南壁スロヴァクダイレクト)
アラスカ マウント・ローガン南東壁「糸」初登
パタゴニア フィッツロイ山群ケアベアトラバース
カラコルム K7西峰バダルピーク初登
海外6000m級の山の巨大岩壁を登りまくっている、日本でも数少ないアルパインクライマーです。
ひと昔前は、アルパインクライマーといえば山野井泰史さんが有名でしたが、彼の次の世代の代表格ということになるのかなと思います。
横山さんはブログなどもやっていないようで、ネット上には意外にその情報が少ないんですよね…。
しかし、アルパインクライミング考では、彼の登山やクライミングに関する情報がこれでもか!とばかりに盛りだくさんに描写されているのです。
語りかけるような文体で読みやすい
本といいつつ、その文章は決して堅苦しいものじゃなく、語りかけるような文体で読みやすかったです。
元々は、山の雑誌「岳人」に連載されていたコラムに大幅加筆修正を加えたもの、ということもあり、まぁ少々くだけた文体のブログ記事を読んでいる感覚でした。
著者独特のユーモアも随所にちりばめられていて、普通に楽しんで読めます。
活字アレルギーだから、読解力がないから読めない、ということはないので安心してください。文章を読むのが苦手な僕でもストレスゼロで読めました。
逆にいうと、そんな僕にも伝わるように文章を組み立てられるという点で、著者の文才を感じずにはいられません。トップクライマーは、文章表現の才能にも溢れているということなのでしょうか(まじですげぇ!)
登山の想像力をあらゆる点でかきたてられる
とにかく、山やクライミングにおける、風景の描写・登っているときの心の葛藤の描写が生々しいです。
山や岩に登る方なら、簡単に感情移入してその世界に入り込むことができると思います。まるで自分が、今まさにその山に登っているかのような臨場感を得られてワクワクすること請け合い。
そう、だから「エア登山」なんです笑
自宅にいながらにして、世界の山々を登っている至高の気分。最高でした。しかも、エア登山は遭難する危険もないわけですからねw
現代の最先鋭クライマーの脳内が覗ける
日本のアルパイン界を牽引し、世界中の巨大な山で輝かしいクライミング実績を残してきた横山さんが、一体山とどのように向き合い、何を思考してきたか?
そして一緒に登ってきた多くの山仲間たちとはどのようにチームを築き上げていったのか?
単に山のことだけでなく、クライマーとしての在り方、心の内面といったデリケートな部分を絶妙に、そしてリアルに描写されているのが印象的でした。
この本では、そうした部分にこそ横山さんの伝えたいことや、本質的なことが書かれているように思います。
逆に、彼らのパフォーマンスを支える最先端の高度なクライミングテクニックや技術論には、あまり触れられていませんが、それは本質ではないということですね。
これほどまでに登り続ける人生だと、もちろん順調なだけではありません。
落石に当たって大怪我を負ったり、雪崩に巻き込まれて九死に一生を得たり、多くの浮き沈みや葛藤、失敗やスランプといった苦悩も多々。
そういった数々の重圧やピンチをどう乗り越えていったのか?
こうした経験を、横山さん独自のフィルターを通して疑似体験ができてしまいます。
最後に
読後感が満腹かつ爽やか
上にも書いたとおり、語りかけるような文体なので、非常に読みやすいです。スラスラ読めてしまいます。理解できない部分はほとんどありませんでした。
とはいえ、全419ページ(!)もあり純粋にボリューミーだったというだけでなく、最後まで内容があまりにも濃すぎて、ちゃんと読みきって内容をしっかりと味わい、消化するのに思いのほか時間がかかってしまいました。
実は大分以前に途中まで読んで、最後までは読み切れていなかったのですが、横山さんに関する具体的な疑問とか知りたいことは、この本を読みきることで全て解消された感じがします。
いやはや、ごちそうさまでした・・・
ネットには出回っていない横山さんの濃い情報は、この本の中にたっぷりとありますよ笑
実はクライマー以外の方にも広くお勧めできる良書
読んでいて特に思ったのは、「これって、人生においてほかのシーンに当てはめてもとても参考になるよな・・・」ということ。
そう、本の内容はあくまでもマニアック(!)なクライミングのことですが、、
偉大な実績を上げた人の思考法とかメンタルの在り方とか、困難との向き合い方とか、そういった人としての内面の部分があらゆるシーンでリアルに描写されているので、僕たちの日常生活やビジネスなどのさまざまなシーンにおいてすごく応用できるんじゃないかということを強く思いました。
なので、コロナで悶々としているこの時期(もちろん、コロナが解消してからであっても)、是非一度、手にとってみられてはどうでしょうか?
という僕からの提案です^^
ではでは~