クライミングにおけるエイト環の役割とは【ATCとの違いを解説】

クライミングで使うギアで「エイト環」ってあるけれど、これは何をするための道具なの?

 

こんにちは、トミーです。

アルパインクライミングにあこがれて、山の岩壁に登るために色々と行動してきました。

そして、その結果、

穂高滝谷、剣岳チンネ&八ツ峰フェース群、北岳バットレス、八ヶ岳、谷川岳などの岩壁に登ることができました。

 

さて、クライミングギアの中でも、「エイト環」って聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

このエイト環、一体何をするための道具なのでしょうか?

類似の下降器である「ATC」と比較しながら、以下解説してみたいと思います。




エイト環は、懸垂下降をするための道具です

エイト環は、懸垂下降をするための道具です

 

エイト環は、端的にいうと「懸垂下降をするための道具」です。

 

懸垂下降の際に便利に使用できる

懸垂下降とは

ロープを使用して、安全確保をしつつこれに体重を預けて下降すること

懸垂下降

そして、フリークライミングやアルパインクライミングにおいて、懸垂下降をする際には、
基本的には「エイト環」「ATC」のどちらかを使用します。

 

ATCは比較的近年に使われるようになった新しいギアで、エイト環は昔から使用されてきた歴史あるギアです。

現在では懸垂下降でもATCを使用することが多く、エイト環の需要は少なくなってきました。

しかし、それでもエイト環は安価ですし使い方を熟知していれば非常に便利な道具で、特に懸垂下降のときにはATCにはないメリットや扱いやすさなどもありますね。

 

それでは、懸垂下降時のエイト環のメリットとは、どんなものなのでしょうか?

懸垂下降時のエイト環のメリット
  1. エイト環を落下させる可能性をほとんどゼロにしつつ、速やかにロープにセットできる
  2. 仮固定が一瞬でできる
  3. 細径のアクセサリーコードでも懸垂下降に使用できる

 

順番に見てゆきます。

 

①エイト環を誤って落下させる可能性をほとんどゼロにしつつ、速やかにロープにセットできる

以下の手順を踏むと、エイト環を誤って落とすことなく、ロープにセットすることができます。

エイト環のセット・手順1

ハーネスのギアラックにこのようにラッキングしているエイト環を、懸垂下降をするためにこれからロープにセットをします。

エイト環のセット・手順2

ロープを、エイト環の大きいほうの穴に、上から通してくびれに巻きつけます。

エイト環のセット・手順3

カラビナから開放し、表裏を反転させます。

エイト環のセット・手順4

ちなみにカラビナから開放しても、このようにエイト環はロープに絡んでいる状態だと落下の心配はありません。

エイト環のセット・手順5

ビレイループの環付カラビナに、エイト環の小さいほうの穴に通してセット完了。

 

②仮固定が一瞬でできる

エイト環での仮固定

下側のロープを、エイト環と上側のロープの隙間にぐりんと挟みこんでやると、上記のような状態になり、一瞬で仮固定の状態をつくれます。

この方法はあくまでもロープに自重を利用した仮固定なので、両手を離して完全に停止させるには、使用しているロープの径とか下側にあまっているロープの長さによって効きが変わってきますので、使用の際はそのあたりもよく留意したうえでお願いします。

③細径のアクセサリーコードでも懸垂下降に使用できる

アクセサリーコードでのエイト環懸垂下降

このように小さいほうの穴を使用すれば、アクセサリーコードのような細径ロープでも懸垂下降ができるメリットがあります。もちろん安全面の観点からは積極的に使用する方法ではありませんが・・・

とはいえ、ATCだと、これは摩擦が足りないために採用できない方法です。

 

【補足】昔はエイト環をビレイにも積極的に使用していたらしい

現在ではビレイに使用するギアは、ほぼほぼ8割以上のクライマーがATCを使用していると思います。
(中~上級者はグリグリを積極的に使用している方もちらほら見受けられますね)

実はビレイにエイト環を使用することもできるのですが、現代ではATCのほうが圧倒的に扱いやすいので、わざわざエイト環を使用してビレイしている人は今やほとんどいないと思われます。

エイト環を使用したビレイの方法の詳細は、イラスト・クライミングに紹介されているので、参考にされるとよいかなと思います。
まじでわかりやすく図解で解説してありますので。

ATCはビレイにも懸垂下降にも使用する

代表的なATC「ペツル・ルベルソ」

代表的なATC「ペツル・ルベルソ」

現在では懸垂下降時に使うギアはATCが主流です

これまでにエイト環の特徴を解説してきましたが、とはいえ2019年現在では懸垂下降でもATCを使用するのが主流です。

やはりATCはエイト環に比べて軽量ですし、ビレイ性能はエイト環とは比べ物にならないほどに安全性が高く使いやすいからです。

ですので、ATCは現代のクライマーに必需品であり、ATCがあれば懸垂下降も基本的にはこなせてしまいます。

もちろん、仮固定の際はきちんとその技術を覚えないといけないわけなので、その点を自己責任において留意しておく必要はあります。

ATCの懸垂下降におけるデメリット

エイト環で使用する簡単な仮固定の方法が、ATCでは作れないことです。

しかしこれに関しても、バックアップをとる技術として、ロープだけを使用した仮固定の方法や(詳細は省略します)、細引き(ロープスリング)を使用してフリクションノットでつくる方法などがあり、これをマスターすれば問題なく対処は可能です。

もちろん、現場ですぐに使いこなせるようになるためには、練習が必要です。

正しい方法を習得し、繰り返しの練習を行うことが大切ですね。

フリクションノットについては、代表的なものとして、「プルージック」「クレムハイスト」「マッシャー」「バックマン」があります。

クレムハイストでのバックアップ

クレムハイストでのバックアップ

これらの詳細については、ググると色々と出てきますし、イラスト・クライミングにもわかりやすい解説があります。

アルパインクライミングを志すならば、必ず覚えておくべき技術です。

 

それじゃあ、エイト環とATCでは、どちらを買うべきか?

エイト環ATC、どちらを買うのがいいのでしょうか?

最初に買うのならば、ATCです。ビレイ用ギアとして最初に購入するギアはATCですし、そのATCで懸垂下降もまかなえるからです。

しかしエイト環も、上記に解説したようにエイト環にしかないメリットがあったり、さまざまな使い方ができるすぐれたギアです。そんなに高いものでもないので、持っておいても損はないですね。クライミングライフをより楽しく豊かにしてくれるアイテムだと思っています。

 

今回は以上となります。

それではみなさん、素敵なクライミングライフを^^

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